ルカの福音書講解説教(10)/メッセージ原稿/『バプテスマのヨハネの偉大さ』(その 3)/2016.05.29
『天の御国の一番小さい者の偉大さ!』
―バプテスマのヨハネは偉大な者&バプテスマのヨハネよりも偉大な者ー
《ルカ 1:17/マタイ 11:11》

【序 論】
●前回のメッセージでまた週報で、「次回は『酒によってはいけません』」というテーマで、何回かにわたってエペソ人への手紙からメッセージを取り次ぎます」とお伝えしました。しかし、前回のメッセージを最後まで終える事ができませんでしたので、再度、前回のメッセージに戻って完結したいと思います。前回、「父たちの心を子どもに向けさせ(る)」という家族の和解をもたらすヨハネの重要な役割について触れましたが、今回は当教会員からお二人のその具体例を付け加えて語ろうと考えています。
●また、前回、時間の都合上語れなかった部分にかなり深い内容が含まれており、その部分を取り上げますが、「う~ん、なるほど。」と感動されるのではないかと信じています。バプテスマのヨハネは偉大な者と
イエス様によって賞賛されましたが、『天の御国の一番小さい者の偉大さ!』はヨハネのものよりも勝ると、イエス様は更に語られるのです。いったいどういう意味なのでしょうか?共に、御言葉を探って行きましょう。アウトラインは下記の通りです。
[本 論]
[3]バプテスマのヨハネの力強い役割(ルカ1:16、17b、17c)
1)多くの人々を救い主に立ち返らせる役割(1:16)/済
2)父たちの心を子どもに向けさせる役割(1:17b)/済
3)逆らう者を義人の心に立ち戻らせる役割(1:17c)/今回
[まとめ]
バプテスマのヨハネの偉大さに勝る偉大さ(マタイ 11:11)
1)バプテスマのヨハネは偉大な者(11:11a)
2)バプテスマのヨハネよりも偉大な者(11:11b)
【本 論】 それでは、今回のメッセージの本論に入りましょう。
[3]バプテスマのヨハネの力強い役割(1:16、17b、17c)
―ヨハネの一番目と二番目の役割/前回の復習―
●前回のメッセージで、バプテスマのヨハネの力強い役割の途中まで学んでいましたので、まずは要点を復習して、それから残りの部分を学ぶ事にしましょう。ヨハネの力強い役割の一番目は、多くの人々を救い主に立ち返らせる事でした!ヨハネは、「罪の赦しによる救いの知識」(ルカ 1:77)すなわち福音が救い主イエス・キリストを通して与えられる事を人々に告げ知らせて、人々を救い主の到来に備えさせるのでした!
―1―
●ヨハネの力強い役割の二番目は、「父たちの心を子どもに向けさせ(る9」事でした!ヨハネが語る説教は、人々に悔い改めをもたらします!父親や母親や子どもたちがそれぞれ罪を悔い改め、回心し、
救い主を信じる信仰によって神に立ち返ります!そして、その結果、家族の中に和解がもたらされます!家族の中に一人でも救い主を信じて悔い改める者が起こされると、その恵みは家族に伝わって行きます。すると、家族の中に和解が生まれて来ます!
―(1)I家の和解の恵みの御業/H姉&Iさん&お母さん―
●家族全員が信じて初めて家族内に和解がもたらされると言うのではありません。家族の中の一人でも神の前に悔い改めれば、その人がへりくだって自らの落ち度や赦せない心、すなわち自分の罪を認めて家族の者に対して謝罪します!謝罪するという事はへりくだる事です!へりくだる事によって、家族間に和解が進み
ます!その良い例が、H.I姉とその娘のIさんそしてHさんのお母さんという三者間に
起こった事です。H姉がキリストある信仰に導かれてから娘にした事は、自分の子育てに落ち度があった事を認めて謝った事でした。そこに和解が生まれました。そして、次に起こった事は、以前、Hさん自身が礼拝で証しされましたように、これまで様々な理不尽な取り扱いを受けて来たHさんがなかなか赦す事のできなかったお母さんを赦す事でした!
●ですから、その当時、H姉と娘のIさんとのゴタゴタ、H姉とお母さんとのゴタゴタ、そしてIさんとH姉のお母さんであるおばあさんとのゴタゴタで家庭内の平和が保たれず、そんな中にご主人が帰宅し、家庭がくつろぎの場とならない事もあってか、Hさんとご主人との関係も悪化していたというのがI家の実情でした。その当時、私も相談を受けつつアドバイスもさせて頂きながら、最終的にはH姉が謝るべきところは誤り、それが和解へとつながって行きました。家族の中で、本物の信仰を持ったクリスチャンが一人いる事で、神の和解の恵みが家族に広がって行くのです!
●神が起こされる良い業は、それだけに留まりません。娘のIさんも自分の母親の母親すなわち自分の母方の祖母との関係は最悪でした。「おばあちゃんの顔を見たくない、おばあちゃんと同じ屋根の下で住めない、たとえおばあちゃんがいなくても、過去の苦い経験を思い出す家へ戻ってそこで住む事はできない」という程の最悪な関係でした。しかし、この度、病院に入院している祖母のところへ初めて顔を出す事ができ、また言語聴覚士の専門知識を生かして祖母を助ける行動に出る事ができました。おばあさんが唾を呑み込む時の様子を調べたり、またその時、おばあさんの口の中もきれいにする事もしたそうです。
●家族における和解の道は、キリストにある一人の回心者が家族から出る事によって開かれて来ます!「父たちの心を子どもに向けさせ(る)」と、これから生まれるバプテスマのヨハネについて約束をザカリヤは受けましたが、まさにその家族の和解という神の恵みの御業は、二千年経った今でも、キリストの福音を信じる家族の中に今でも継続して起こされているのです!
―(2)E姉と弟との和解の恵み―
●今井家に続いて、もう一人、家族の和解の恵みを体験した方を紹介しましょう。それはE姉です。(続く)
―2―
2014 年に婚約式を挙げたのですが、その前に、7 年程にわたって弟さんと口を利いた事のなかった弟さんへ、E姉は次のようなメールを送りました。既に、E姉はバプテスマ式の時に証しして下さった内容ですが、家族の和解という神の恵みを考える時に、再度、このメッセージで分かち合った方がいいと判断しましたので、改めて私から伝えさせて頂きます。
ひさしぶり。元気?突然の LINEごめんね。お母さんから聞いていると思うけど、5年付き合ったA.Nさんと 9月に入籍&挙式をすることになりました。よかったら出席してくれませんか。でも、その前に謝らなければいけないと思って LINE しました。今まで、何一つ姉らしいことをしなくてごめんね。お父さんとお母さんに一番に愛されたい願望があったから、ズルいことも沢山してきたから私のこと憎んでるよね。でもね、今までずっと気づかなかった。自分のことしか考えない自己チューだったからね。
彼氏はね、クリスチャンなんだ。それキッカケで私も教会に通うようになって、最初は意味わかんないし、
宗教に嫌悪感があったけど、彼氏のこと知りたかったのをキッカケに、教会で勉強して 4 年半、私はクリスチャンになりました。それまでは、もう話さなくても会わなくても良いと思っていたけど、聖書を知り、イエスキリストを知り、私はあなたにどれだけヒドイことをしてきたかを気づき、このままでは駄目だと思い、今までのことを謝ろうと思いました。いきなりは無理だと思うけれど、徐々に会話が出来るような関係になれたらいいなと思っています。7/27か8/3のお昼頃に私が通ってる白石の教会で婚約式があります(お父さんとお母さんも出席します)。まだ、日にちは決まってないので、もしきてくれるならどちらか都合の良い日を教えて下さい。
●そのような神の和解の御業が、これから救いに導かれる人々やその家族に起こる事を私は心から期待を寄せています!当然、皆さんも、その事を期待しておられると確信します!
―(3)教会内における和解―
●教会内における和解についても考えてみましょう。クリスチャンは皆キリストの十字架の犠牲の御業のゆえに神との和解へ導かれた者たちです。その集まりが教会です。そして、クリスチャンは神の和解を人々に告げ、和解の恵みを宣べ伝える者です。その和解の使者がなすべき事は、和解の恵みに生き続ける事です!和解の使者は完全な者ではありません。教会内の人間関係において、和解の恵みを受け続ける必用のある者です!互いに謝罪し、互いの罪を赦し合い、互いに受け入れて愛し合う関係を召されるまで続けるのが和解の使者であるクリスチャンの姿です!そのようなキリスト教会は、この世にはない魅力が放つ群れとなります!不完全な者同士が赦し合い、和解の恵みを保ち続けるのです!その源である和解を提供して下さったお方が、聖書の神様ご自身です!
―ヨハネの力強い役割の三番目/今回のメッセージの始まり―
●そして、前回時間切れでできなかったヨハネの力強い役割の三番目を、今回取り上げる事にしましょう。
それは、17節の後半に記されていますように、「逆らう者を義人の心に立ち返らせ(る)」というヨハネに託さ
れた尊い役割です!この「逆らう」と訳されている言葉の意味をまずは捉える事は大切です!それは、新約聖書では決して説得されない者、頑なに真理を信じる事を拒む者、そして真理に従う事を拒む者を指して使われている言葉です!(続く)
―3―
(ヨハ 3:36/ロマ 2:8、11:30-31/1 ペテ 2:8、3:1、20)ヨハネの説教は、強情な罪人に対しまた冷酷な罪人に対峙します!そして、彼らの「心」を義なる者へと、正しい者へと変えて行くのです!
●悔い改めて信じる心へと導かれた魂はどうなるでしょうか?その答えが、17 節の最後の御言葉に記されています。それは、霊的に「整えられた民」となって「主のために用意」されるのです!「こうして」、救い主を受け入れる心が人々に備えられて行くのです!そういう意味で、イエス様の先駆者として来られるバプテスマのヨハネの役割は大変重要なものです!そして、この御使いの約束の時から30 年後にヨハネが荒野に出現して人々にバプテスマを授け、救いに主への道備えをするのです!
【まとめ】
1)バプテスマのヨハネは偉大な者(11:11a)
●『バプテスマのヨハネの偉大さ』というテーマで学んで来ましたが、そのテーマに関する本論はこの時点で終わりですが、このテーマの元になっているイエス様が語られた御言葉をに戻りたいと思います。マタイ 11:11
の前半です。イエス様は、バプテスマのヨハネについて次のように語られました。「まことに、あなたがたに告げます。女から生まれた者の中で、バプテスマのヨハネよりすぐれた人は出ませんでした。」、と。

しかし、この節には、後半の御言葉があり、次のように記されています。「しかも、天の御国の一番小さい者でも、彼より偉大です」、と!いったいどういう意味なのでしょうか?
●まずは、前半部分の意味を再度簡潔にお伝えして、それから後半部分の御言葉の意味をお伝えましょう。前回のメッセージで語りましたように、ヨハネが偉大だとイエス様から称賛される理由は、他の誰よりもより聖いから偉大なのではないという事でした!彼の偉大さは、彼の召命が救い主の「前ぶれ」になるという、他の誰よりも気高い召命であるからです!その召命は、人が受ける最も光栄に満ちた任務であるからです!実に、それがヨハネを偉大な者と言わしめていた本質的な理由です!
2)バプテスマのヨハネよりも偉大な者(11:11b)
●さて、マタイ 11:11 の後半の御言葉に注目しましょう!「天の御国の一番小さい者でも」ヨハネよりも「偉大」であるというのです!どういう意味でしょうか?「天の御国の一番小さい者」というのは、神からの賜物として与えられている命を持っています!霊的に真の偉大さは、この神から与えられた命から来るのです!逆に、霊的に真の偉大さというものは、私たちが地上の任務を行う事から来るのではないという事です!別の表現をしますと、霊的偉大さの本質は、人間が取り組む任務よりも遥かに勝るものであるという事です!
●霊的な命は永遠です!贖われた全ての者は、同じ栄光に富んだ永遠の命という栄誉にあずかっていますし、それは天の御国において永遠に続くものです!実に、それが究極的に偉大なものなのです!ですから、バプテスマのヨハネもまた「天の御国」に属する者ですから、他の全ての信者たちと共にその偉大さを分かち合う事になります!(マタ 20:16)これが、マタイ 11:11 の前半と後半の意味です!
―4―
【勧 め】 それでは、前回と今回のメッセージを振り返って勧めをしましょう。
●キリストにある全ての人は同じ神の命を宿していますので、気高い品性を生み出す力が与えられていますし、また霊的な献身を表して行く事ができます!それから、キリストにある全ての者が聖霊に満たされて力が与えられますので、キリストを宣べ伝える事ができます!ヨハネのように、全てのクリスチャンが同じ任務を託されています!福音の知識を語る事ができ、悔い改めを語る事ができ、
和解の使者となる事ができます!そうする事によって、未信者が、主イエス・キリストにある救いの信仰と身代わりの死を通して神に立ち返る道が備えられます!そういう意味で、クリスチャンはヨハネの偉大さを共有する事ができるのです!
【適 用】 それでは、今回のメッセージを私たち自身に対して適用しましょう。
●皆さんは、聖霊の力によってキリストを宣べ伝え、ヨハネと同じような偉大さを共有する事ができると信じていますか?そして、やがて来る天の御国で、永遠に続く神の命にあずかっている偉大さのゆえに、この残された地上での人生を神のために尽くそうと願っていますか?
●神のために尽くす具体例として、あなたは和解の使者として神から遣わされているという
自覚がありますか?その和解の務めに励んでいますか?神と人とをつなげる和解の務めに携
わっていますか?また、あなた自身が和解しなければならない人はいませんか?主があなたに力をお与えになり、その務めに用いられる事を祈ります。
【締めの御言葉】
女から生まれた者の中で、バプテスマのヨハネよりすぐれた人は出ませんでした。しかも、天の御国の一番小さい者でも、彼より偉大です(マタイ11:11)。